大正製薬が新製品として売り出した育毛剤「リアップ」が、大変話題になった。 平成十年五月二十日付け日本経済新聞の記事によると、「大正製薬が施した臨床実験では、六ヶ月使うと全体のし72.2%に脱毛が減るなどの効果があり、7.3%は毛髪が生えるなど顕著な改善がみられたという。
ただ、効果があるのは壮年性脱毛症のみ。円形脱毛症などは対象外で、女性や二十歳以下の男性も国内でのデーターはない―」とある。
この記事に、脱毛症で悩んでいる壮年者が興味を示した。
日本経済新聞の記事を推論すると、発毛・育毛は至難なことで、しかも多くの化粧品メーカーが出している育毛剤には効き目がなく、製薬会社の新製品だから今度こそ「本物」の育毛剤が出たという期待感をいだかせた。
膨大な宣伝費を使い、売らんかなの姿勢で新製品を次からつぎと発表する大手化粧品メーカーの育毛剤に育毛効果が期待できないのは事実であるが、発毛・育毛のメカニズムを研究する者にすれば、「女性や20歳以下の男性はもとより、円形脱毛症も対象外で、効果があるのは壮年性脱毛症のみ」という発表には頷けない。
頭頂部が薄くなっている方の中には、ご自身の髪がどんな具合なのか、状態を把握していない方が意外と多い。
今から十年ほど前のことである。 学生時代からの友人たち二十数人で、温泉旅行をしたことがある。このメンバーとは年に一~ニ度集まる習慣がずっと続いていて、誰からともなく、そろそろ「こんにちは四十代」を記念して、一泊旅行をしようかという声があがり、その旅行が紅葉の季節に実現したのである。
旅館の宴会場で、そろいの浴衣に身を包んだ仏たちは、大いに羽目をはずしてドンチャン騒ぎを楽しんだ。 後日、出来上がったスナスフ写真を見るために、何人かの友人が集まった席でのことである。
「えらいハゲてるなー、こんな奴おったか?」
一枚の写真の後ろ姿に目を止めたA君は、笑いを押さえきれない様子で、そばにいた友人に語りかけた。「どれ、どれ」と言いながら覗き込んだB君が、後頭部が丸くハゲた男の写真を見て、 「それはお前だよ」とこともなげに言った。
「なんだ? おれか?」
日本では多くの方が、エステティックを痩せる美容と間違いしているが、エステティックとは、髪の毛以外の美容であり、その本来の目的は肌の現状維持、老化の防止まである。
つまり、女性の肌が最も美しいときの状態を持続させるのが、エステテックなのである。
エステテック・サロンには、さまざまな方がお見えになる。
五年ほど前のことである。
お客様のM子さんが言いにくそうに、「母に会って話を聞いてください」と申し出た。
M子さんはその一年ほど前からのお客様で、当初はひどかった肌荒れと髪質の改善を終えて、現状維持の為にサロンに通い続けている方であった。
エステテック・サロンで髪の毛の手入れを施すことは、現行法で禁じられているが、サービスとしての手入れならば、その限りではない。
私は髪質のひどいお客様に対しては、アドバイスを兼ねてケアを施して来た。
一般にはあまり知られていないが、髪の毛と肌の成分は同じなので、肌に良いものは、当然髪にも良いと以前から考えていた。
私は、お客様たちが使う市販のシャンプー剤に、肌に良いいくつかの成分をまぜて差し上げたり、顔のパックのついでに、髪の根元に化粧液をすり込んだり、髪の毛に塗ったりしていたのである。
このケアが思いのほか好評で、髪がきれいになった、艶がでた、抜け毛が止まった、髪の毛が太くなった、などといって喜んで下さる方が後を断だなくなった。
なかには白髪が減ったという方もいる。