飽食の時代といわれる現代の日本では、あらゆる国の料理をいつでもどこでも簡単に食べることができる。
世界中の好きな料理をいつでも食べることができるから、家庭で料理をする人が少なくなり、普段の食事をスナック料理で簡単に済ませてしまう家族も多い。手軽でおいしく食べてるうちに、いつしか偏った食生活が定着してしよう。
しかし、多少栄養がかたよっていても、脱毛症になる心配はない。
戦後の一時期、ほとんどの日本人が栄養失調の状態であったが、それら総ての人が、脱毛症になったわけではない。
もちろん、バランスのとれた食事をとるにこしたことはない。バランスのとれた食事は健康の維持ばかりではなく、つややかな肌と美しい髪を形
成する。
栄養失調イコール脱毛症とはならないが、健康で、美しい肌と髪を保つためには、やはりバランスのとれた食事をこころがけるべきである。
ご存知「101」ブームがきっかけで、世の中に広まったのが育毛にはハリが効くという説である。
私の知人で亡くなられた俳優の川谷拓三さんも、「101」に夢中になり、中国まで求めに行った一人である。「101」は発売当初人変な人気で、日本ではなかなか買い求めることができなかったほどだが、運良く「101」を手に入れて使った人の間で、月日が経つにしたがって育毛効果への疑問の声が持ち上がった。
すると、「『101』はハリ治療とのペアでなければ効果がでない」といったうわさが流れ、「101」に期待をかけていた人たちはあきらめきれず、「効果がなかったのはハリ治療をしなかったから」と勝手に解釈し、逆に「ハリ治療説」が誕生した。「ハリ治療説」が誕生すると、旅行社によって、驚くほど高額料金の「中国『101』ハリ治療ツアー」が組織された。
この「中国『101』ハリ治療ツアー」は、高額ゆえに「絶対効果がある」と、脱毛に悩む人たちに期待感を抱かせ、私のごく親しい方を含む知人たち七人がこのツアーに参加し、内服薬を含むたくさんの「101」を土産にして、意気揚々と帰国した。
七人のツアー参加者たちは、中国滞在の一週間のあいだ、複数の医学博士から「発毛・育毛に効く」 ハリ治療を受け、さらに「101」の効果的な使用法を懇切丁寧に指導されて、「101」信仰を一段と深めたようだった。
帰国した直後には「こんどこそ毛が生える」「毛が生えたら周りを驚かせてやる」「ハゲをバカにしていたヤツらを見返してやる」などと言って、わくわくしながらお互いが守秘義務のようにして密かに情報を交換しあっていたが、結局七人とも、育毛効果を見た人はいなかった。
それにしても、四千年の歴史にに裏打ちされた中国の、漢方やハリに対する日本人のあこがれと信頼皮の強さは相当なものである。
人の身体には、経絡のツボと呼ばれる場所がおよそコー○力所もある。わよそという表現は、新たなツボが今でも発見されていて確定できないからである。
この経絡のツボは神経線とも呼ばれていて、意外な場所から、各内臓、器官に直結している。耳のツボにハリをおき、食欲を押さえる「耳ツボダイエット」はその代表的なものといえる。
子供たちの乳歯が永久歯に生え代わる時を思い起こせばわかるが、乳歯が抜け落ちようとする頃には、すでに永久歯はかたちを成して生える準備を終えている。
健康な状態である人の髪の毛も、歯が生え代わるメカニズムと同じである。髪が自然に抜け落ちる数力月も前から、脱毛する髪に代わる新生毛が頭皮の下で育っている。
「髪は抜ける時に種を残す」というまことしやかな説があるが、前述のとおり健康毛の寿命がきて抜ける場合、その下で新しい毛が生え出るための順番待ちをしているわけで、種などという曖昧なものは存在しない。
最近一部の男性の間で「頭皮を柔らかくするための運動」が、ブームになっている。髪のないのは「頭皮が固いせい」なので、両手のひらで頭をはさんで、縮めたりのばしたりを繰り返すと、頭皮が柔らかくなるという発想から生まれたものである。
この「頭皮を柔らかくするための運動」は、ある育毛剤メーカーの指導によるものであるが、この方法で頭皮が柔らかくなることはない。
唐辛子の刺激で血行が促進されるから育毛に効果があるという説がある。 唐辛子は料理に用いる香辛料であって、育毛剤ではない。 調味料としての唐辛子は、ビタミンCを含み、食欲を増進させ体温を高める効果がある。
しかし、辛みの強い唐辛子を単品で食する人はいない。ほとんどの料理に唐辛子を用いる韓国の人でさえ、唐辛子だけを食することはまずない。例外として、青唐辛子を味噌でまぶして食べることはあるが、それさえご飯と一緒にいただく。
唐辛子の刺激が、腸に悪影響をもたらす場合があると分かっているからである。 唐辛子料理を食べるときに、うっかり唇についたりすると、ピリピリと痛痒い刺激をうける。また生の唐辛子が皮膚につくと、痛みを覚える。皮膚が炎症心起こすからである。 頭皮に唐辛子を塗れば、当然同じ現象が起こる。
一時女性たちの間で、粗塩マッサージが「美肌とダイエットよい」とブームになった時期かあり、私の周囲にもこの粗塩マッサージに挑戦した方が何人もいた。「美肌とダイエットによい’はずの粗塩は、粒子が荒く、尖っている。
この粗塩を顔につけてこすると、「人相が変わりそうなくらい痛くて、とてもマッサージどころではない」などと言って、顔ではなく、もっぱら腹部にすり込み、お腹の脂肪を燃焼させようと努めた方もいた。
私たちの身体は、いつも微弱な電気を帯びている。 「心電図」や、「筋電図」などが測れるのは、体に電気を帯びているからである。
私たちの周りには、美容と健康に役立てるべく、電気を利用した健康器具類がたくさん出回っており、中には予想外の効果を発揮するものもあるが、逆に思いがけない弊害をもたらすものもある。
育毛に関心のある男性のほとんどの方が、頭皮をたたいた経験があるという。 頭皮をたたくと、その刺激で毛根が活性化され、抜け毛が無くなり、髪が大丈夫になるという迷信を信じている。
私の友人にもこの説を信じて、毎日毎日ゴンゴンと音がするほど熱心に頭皮をたたき続けていた方がいた。 ご本人は、「髪が多少なりとも形をとどめているのは毎日の精進のおかげ」であると得意げであったが、傍目にはとてもそうは見えなかった。
どう見ても、日に日に薄くなってくる。 きわめて当然な結果である。
現在、市場に出回っている育毛剤のほとんどは、スキョとする爽快感を出すよう、意識的に演出している。
スキッとする原因は、頭皮の熱が瞬時にうばわれるためにおこる感筧である。
このスキッとする感覚が「なんとなく効くような気がする」と利用者の間では好評で、育毛とは関係なく、習慣的に使い続けている方も多い。メーカー側は、温度差によって血流を促進させるとうたっている。